フランスの地理学者でアナキストとしても知られるエリゼ・ルクリュの代表的な著作である『19世紀世界地理』が邦訳されました。この本は、19世紀最後の四半世紀に出版された世界地誌で、第2期セレクション2では、グリーンランド、アラスカ、カナダなど北アメリカの地理が収録されています。
この本は、フランスの地理学者エリゼ・ルクリュが調査旅行や文献を駆使して書き上げたもので、原著は1890年に刊行された第15巻です。北極諸島の探検や開発、支配、そして当時の先住民の生活や西欧の侵略による地域の変化(民族、風土、地誌)が詳細に描かれています。
特に、カナダ領有をめぐるフランス系とイギリス系移民の対立や先住民支配の実態は、現代の侵略や民族問題の理解にも役立つでしょう。また、グリーンランドやスピッツベルゲン、エルズミアなど北極圏の島々の発見と開拓史も充実した内容です。
さらに、現地の川や山などの詳細な地名の記述は、先住民の文化や生活を理解する上で役立つでしょう。
この『19世紀世界地理』は、エリゼ・ルクリュの貴重な著作であり、地理学や歴史に興味のある方にとっては必読の一冊です。